リーンスタートアップ / エリック・リース 著

4822248976リーン・スタートアップ ―ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす
エリック・リース 伊藤 穣一(MITメディアラボ所長)
日経BP社 2012-04-12

by G-Tools

発売前から話題になっていたので買ってみました。
いやー、スゴイっすね、これ。

まず現在のビジネス上の前提を「なにを作ればいいか分からない時代」とした上で、効率化された組織が効率良く無駄なモノを作ってる、と表現しています。うはー、うまいこというなー。
本書の中で繰り返しでてくる「不確実性」というコトバ。もうね、確実なモノなんてないのよ。いや、あるんだけどそこはもう血みどろのレッドオーシャン。今さらスタートアップが参入するような市場じゃないっていうね。

あ、本書はスタートアップにフォーカスしていんだけど、(大)企業内の新規事業なんかもスタートアップとして捉えていまして、とにかく不確実性を孕む未知の価値創造に適用できるノウハウです。

「リーン」とはトヨタ生産方式で使われるコトバで、本書が提唱する「リーン スタートアップ」もトヨタ生産方式の考え方をベースにスタートアップビジネスに適用するためのニューニングが施されてるって感じです。

そして今まで不確実性が高いゆえに、「突飛なアイデア」と「燃えたぎる情熱」と「運」が必要とされてきたスタートアップに対し「マネジメント」こそが重要として、体育会系のノリから理系へのシフトを図っています。不確実性はマネジメントできるのだと。

「構築」→「計測」→「学び」というサイクルを早く回すこと。不確実なことに対し、仮設を立て、仮説に基づき構築し、それによって得られる結果を計測し、そこから学びを得て新しい仮説をたてる。これを繰り返すことで、最初は不確実だったものが徐々に確実性を増すようになる、、、と。そんな感じ。

そして仮説の元になる前提に誤りがあることに気づいたら、ピボットの検討を行う必要があると。このへんも機械的にはデキなくって、最終的には人間が意思決定するしかないんだけど、意思決定の元になる定量的なデータについては計測しておかなきゃいけないし、どういう状況になったらピボットを検討しなきゃいけないか、なんてことも書かれています。

そして短期的に見ると非効率に思える作業も、リーン スタートアップの中では実施する必要がでてきます。計測可能なデータを取得するための仕組みとか、ユーザが享受する価値にはならないものを用意したりとか。でもこの非効率と思える作業こそが不確実性をマネジメントする上では重要で、これを無視して作業の効率を求めれば「効率的に無駄なものを完成させる」ことになってしまいます。

で、ここからは僕の解釈になるんですけど、不確実性の高いモノゴトに対して「正しい」とか「間違い」とかは結果論でしか語れないんじゃないかな、と。やるまえにはナニが正しくてナニは間違ってるってわからないんだもの。だから成功か失敗かがすぐ分かる形の結果を小刻みに実施検証して正しい方向性を探す作業をしないといけない、ってことなんだと思います。
正しいか間違ってるかわからないものに、膨大な時間とコストを掛けて、結果的に「間違ってましたー」だとみんなが不幸になっちゃう、と。しかも間違っている可能性のほうが高いワケで。
振り返ると分かるんですよ、「ああ、ここで間違えたな」とか「ここがマズかったな」ってのは。ただ前を向いて進んでる時にはそれは気づかない。だって結果論だから。

「正しい」と「間違い」を客観的に判断できる仕組みと、正しさの進捗を計測する方法と、間違いかもしれないときのピボットのタイミングと仕方と、そういうものをマネジメントするフレームワークが「リーン スタートアップ」なのかなと。

著者自信がエンジニア出身の方なので、スーツな方よりもギークな方が読んだほうがシックリくるのかもしれないです。