暇つぶしサービスが多すぎてつぶす暇が足りない

むかし、暇つぶしの代表といえば、映画を観る、本を読む、ゲーム(据置機)をする、パチンコする、喫茶店でコーヒー、とかそういったものでした。暇つぶしの対象が結構まとまった時間の暇で、暇をつぶすにしても1~2時間単位で結構気合を入れてつぶさなければつぶれないくらいの大きな暇っていう。

それが、ケータイが一般化して、i-modeでインターネットにつながって、Javaでケータイアプリが作れるくいらいまで表現力が出てきて、ケータイが暇つぶしの相手ができるくらいまで能力を高めてきてました。ケータイの暇つぶし時代の幕開けです。

で、5分以下の小さな暇をケータイ(のコンテンツやサービス)がつぶしてくれるようになってきました。
それによって、電車の中や、人気店の行列に並んでいる時や、レストランで注文してから料理が出てくるまでや、カップラーメンのお湯を入れてからできるまでなど、細かい単位の暇でも暇つぶしができるようになりました。

当時のケータイ向けサービスも、建前上いろいろ有意義な大儀を掲げてたんですが、要はいかに暇つぶしとして優秀か、効率的に暇がつぶせるか、ということを争っていました。

その後、主戦場はスマホに移り、twitterやfacebookが幅を利かせてきました。これらのサービスは暇つぶしの単位をさらに小さくすることで多くの支持を集めました。
twitterは、1つの投稿を140文字以内という制約を設けることで、書くのも読むのも細切れの小さな暇をつぶすことに最適な仕様を採用しました。facebookは二言三言の投稿を読んで「いいね」をクリックするだけでコミュニケーションをとった気にさせることに成功しました。10秒も暇があれば誰かとコミュニケーションをとった気にさせる、という仕様です。すごいです。

SNSは友達とつながってるし、有益そうな情報も入手できるし、なんだか有意義な気持ちにさせてくれますが、要は暇つぶしです。友達との関係性を保つためのコストを最小化することに力を注ぎ、暇な時間を使って関係性を保つことができる、というサービスです。

twitter/facebook以前は友達との関係を保つのに、メールのやり取りをしたり、長い日記を読んだり、コメントしたり、電話をしたり、年賀状書いたり、結構な根気と時間を要するコミュニケーションが必要だったんです。それが今ではワンタップで完了ですよ。コミュニケーションの大安売りですよ。

そんなわけで、信号待ちや、渋滞の中や、トイレの個室の中や、PCの起動中や、コンパイル中や、とにかくちょっとした空き時間でもつぶせるようになりました。
ちなみに、車の運転中にケータイの画面を注視することは道路交通法違反なのでしないように。

そして、今現在もスマホを中心にわずかな暇をつぶすためのサービスが次々と生まれているわけです。

もうね、ないんですよ。僕には。
そんなに持ち合わせてないんですよ、暇を。
ほんの1分程度の暇ですらつぶせるようなサービスが出てきて、わずかな暇も低コストでつぶせるようになって、暇という暇をつぶしまくって、これ以上つぶすためには、暇じゃない時間を削ってつぶさないと足りないくらいになってきてるんですよ。

暇つぶしがたくさんありすぎて忙しい、という現象が生まれてきているわけです。
なんという本末転倒。