「ニコニコ哲学」を読んだ
2014/12/24
![]() | ニコニコ哲学 川上量生の胸のうち 川上 量生 日経BP社 2014-11-14 by G-Tools |
カワンゴこと川上量生さんにケイクス 加藤貞顕さんが対談形式というかヒアリング形式でいろんな話を聞き出したケイクスの掲載記事を書籍としてまとめたものです。
ネットで連載している最中にも、断片的に記事を読んでいたんだけど、やっぱりまとめて読める書籍のほうがいいです。
川上さんの一般常識からかけ離れた理論や思考プロセスも、書籍で一気読みするとあらゆるところで整合性がとれていて、普段から深く考えてるんだなってことがわかります。
でも、こんな友達いたらヤだなwと思うくらい面倒くさい感じです。理屈っぽくて。
で、先日LINEの社長を退任された森川さんも本書の書評を書かれていました。
⇒ 「ニコニコ哲学-川上量生の胸のうち」読みました : LINE株式会社 森川社長ブログ
川上さんとは何度かお会いしたことあり会食をしたこともあるのですが、あまり長くしっかりと話をした記憶がありません。性格的にシャイな方でイベントなどでもあまり部屋から出てこないという付き合いべたなところがあるからだと思いますが(笑)。
この人、ホントに人付き合いが苦手なのかもしれん。
記憶に残ったフレーズを引用しておきます。
長期的にニコ動が自由な場であるためには、会社がクレームに対して鈍感である体質を作ることが重要だと思っています。
おそらく、多くの人は少ない理屈でビジネスをしようとするから、競争相手がたくさん現れてうまくいかないんじゃないでしょうか。普通は正しい前提の上で、少ない理屈で儲けの仕組みを考えようとしますよね。でも僕は、間違っている前提に立っているので、たくさんの理屈が必要になるんですよ。天動説と同じで矛盾だらけだから、いっぱい理屈を考えないと成立しない(笑)
優秀なクリエイターは論理的にコンテンツをつくるんです。その中で希少性を高めるために、感性を利用するってことはあります。コンテンツがあふれている今は、希少性も勝負のポイントになってきますからね。でも、基本は論理なんです。
「儲ける!」という強い思いで、思考を停止しちゃうんですよね(笑)。大きな間違いです。そういう時こそ考えないと。必要なのは、勇気でもなんでもなくて、計算です。
合理的なものをよしとした瞬間に、システムが正しくて、人間個人のわがままは抑圧されても仕方がない、そんなものはどうでもいいという価値観になって住まうんですよね。論理って突き詰めると、自分じゃなくてもいいものなんです。賢い人が2人いたとして、論理を2人で突き詰めていくと、同じ帰結に達します。どっちが考えても一緒。つまり、非論議的な部分にしか、最終的な個性は残らないわけです。
人間の本能って、それこそ彼女がほしいとか、もっと寝たいとか、いっぱい食べたいとか、いろんな方向に向かうものなんです。そこには、基本的に論理性はない。それが自然なんです。だから論理って、人間の感情と離れた結論を出すし、突き詰めると人間の敵になる。これは本能的にみんな感じていることなんじゃないですかね。
とにかく論理的に考える、ということを突き詰めている感じです。
その上で、論理的な正しさと、感情的な心地よさみたいなものを使い分けている感じ。
もし、自分が理屈っぽくて面倒くさい性格だって自覚のある人は本書を読むと、こんなに面倒くさい人もいるのか。って勇気が出るのでオススメです。